9月18日防衛庁発表 中谷長官会見概要(1402~1424)
中谷防衛庁長官会見概要
1 発表事項
本日の閣議は、繰り下げ閣議ということでしたが、当庁に関連することは特
にございませんでした。
石原行政改革担当大臣からは、「公益法人制度の抜本改革について」というこ
とで、『本年度中を目途に「公益法人制度等改革大綱」を策定することなど必
要な取組みを去る3月29日に閣議決定し、8月2日に抜本的改革に向けての
論点整理を公表したところであります』ということで、「今後とも関係閣僚の
ご協力をお願いいたします。」ということでした。
それから尾身国務大臣から、「国際原子力機関(IAEA)総会出席他につ
いて」ということで、「各国の首脳との意見交換をいたしました」ということ
であります。
その後、外務大臣臨時代理から、「小泉内閣総理大臣の米国訪問について」
ということで、「9月9日から14日までボストン、ニューヨークを訪問した。
ボストンでは、ハーバード大学関係者等と交流をし、ニューヨークでは時事通
信・外交評議会主催の講演を行い、同時多発テロの邦人被害者家族と懇談し、
テロ1周年の関連行事に出席をした。12日の首脳会談ではイラクに対処する
上で国際協調が重要である点についての共通の認識が確認された。」というこ
とで、首脳会談等についての報告がありました。
同じく外務大臣臨時代理から、「小泉内閣総理大臣の北朝鮮訪問について」
ということで、「小泉総理大臣は9月17日、北朝鮮を訪問して、金正日国防
委員長と会談を行いました。会談においては、日朝国交正常化に関する諸問題
と日朝間の諸懸案について極めて率直な議論を行いました。拉致問題について
は、関係者の安否が確認されましたが、帰国を果たせずに亡くなられた方々の
ことを思うと、総理が言われたとおり、まことに痛恨の極みであり、ご家族の
お気持ちを思うと言うべき言葉もありません。本件について小泉総理は、金正
日委員長に強く抗議し、同委員長は過去の北朝鮮の関係者関与を認め、「遺憾
なことであり、お詫びする。2度とこのような事案が決して発生しないように
する」と述べました。また、死亡の情報が寄せられた方々に対しては、継続調
査を進め、生存が確認された方々については早急にご家族との再会や本人の意
思による帰国を実現させる考えである。安全保障上の問題については、金正日
委員長は朝鮮半島の核問題に関連するすべての国際的合意の遵守、期限なきミ
サイル発射の凍結を明確にしました。これらの問題も含め、地域の安全保障と
双方の安全にかかわる問題につき、日朝間で安全保障協議を行っていくことに
なりました。国交正常化に関する諸問題については、財産及び請求権を相互に
放棄し、同時に国交正常化後、日本側から北朝鮮側に経済協力を供与するとい
う考えを基本として、今後協議していくこととなりました。もとより、これで
日朝間の諸懸案が解決したわけではありませんが、これらの諸問題について、
今後、問題解決を確かなものにしていくためにも、総理は、日朝国交正常化交
渉を再開するとの判断をされました。
我が国としては、「今後とも、米国及び韓国等、国際社会の関係国と緊密に
連携しながら、国交正常化交渉及び安全保障協議を通じ、日朝間の諸懸案の解
決を図り、日朝関係を改善させていくことにより、日本と日本国民の生命と安
全を確保するとともに、北東アジアの平和と安定のために貢献していく考えで
あります」ということであります。
その後、総理大臣の方から「日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議の開
催について」ということで、「日朝国交正常化の円滑な推進及びこれに関連す
る諸問題に対処するため、官房長官が主宰する関係閣僚会議を開催することと
したい。本関係閣僚会議においては、拉致問題をはじめとする日朝国交正常化
交渉を推進する上で重要な諸問題につき検討を行うこととする」という発言が
ございました。
そのあと、平沼経済産業大臣から「平沼経済産業大臣の日アセアン経済大臣
会合、日中韓アセアン経済大臣会合及び日中韓経済貿易大臣会合等への出席に
ついて」発言がございました。以上が閣議の内容でございます。
閣議後に行われた閣僚懇談会では、村井防災担当大臣から「三宅島噴火災害
調査について」ということで、発言がございました。「全島避難からちょうど
2年が経過したところですが、依然として大量の火山ガスの放出が続いており、
火山活動が継続している状況を肌で感じてまいりました。」という発言がござ
いました。
その後、総理から昨日の訪朝について金正日国防委員長と会談をし、10月
中に国交正常化交渉をするといったような宣言をしてきたと、この背景につい
ては、「拉致問題や安全保障問題、経済補償問題など過去、現在、将来に向け
て改善を図る問題が話し合われたわけでありますが、自分としては利益になる
と話をしてあのような結論を得たわけであって、今後関係閣僚会議等を催して
この問題について対応していきたい」という発言がございました。
その後、各閣僚から意見が出されましたけれども、私も発言をいたしまして、
「この日朝交渉を見ておりまして、総理が毅然とした態度で向こうのペースに
入らずに言うべきことを言って、日朝間の懸案について文書としてまとめあげ
てきたこと、また解決の筋立てを作ってきたこと、また先方が言わなかった言
葉も引き出したことなどを見ますと、大変大きな成果があり、特に共同宣言に
おいては、その文書の中に不審船とか拉致といった言葉が明文化されていない
ものの、文言としましては、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとら
ないことを確認し、また日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、
遺憾とする問題があって、今後再び生じることのないよう適切な措置をとるこ
とを確認したとありますけれども、北朝鮮の最高首脳が文書でこれを明記し、
署名をした初めてのケースでありまして、今後これをベースに安全保障協議が
行われていくということは、わが国及び北東アジアの安全保障にとっても、大
変大きな意味を持つものである」という発言をいたしました。その他それぞれ
の閣僚の方々も発言をいたしておりましたが、紹介は控えさせていただきます。
以上が本日の閣議でありました。
2 質疑応答
Q:昨日の共同宣言、それと10月から始まる国交正常化交渉によって防衛体
制に何らかの変化があるとお考えでしょうか。
A:これにつきましては、防衛庁としましては、わが国の防衛に対して責任を
有する立場にありまして、今般の日朝の平壌宣言につきましては、私が閣
議で発言をしましたけれども、北東アジアの安全保障の安定の面でも意義
を持つものでありまして、これから協議が始まるわけでありますが、それ
が実施に移されれば今後の北東アジアの平和と安定に大きく資するもので
あると考えております。
今後の展開につきましては、北朝鮮側の対応を見極めて行くことが必要で
ありまして、現時点においては国の安全保障政策、また防衛力整備への影
響を直ちに申し上げるごとは困難でありますけれども、防衛庁としては今
回の訪朝また、平壌宣言にて合意された諸事項が誠意をもって実施されて、
この地域の平和と安定につながることを強く期待しつつ、日朝関係の今後
の展開等も踏まえながら適切な対応を行っていくべき問題であると考えて
おります。いずれにしましても、日朝間の安全保障協議につきましては積
極的に対応していきたいと考えております。
Q:安全保障協議ですけども、現時点ではどういう枠組みが想定されるのでし
ょうか。
A:これにつきましては、昨日の会談でありまして、今後詳細にわたって外務
省とも協議をし、また密接に検討していかなければならないわけでござい
ます。しかし、両首脳が日朝間で協議の枠組みを作って国交正常化交渉と
連携しつつ、継続的に安全保障協議を行っていくということで一致したも
のと承知をいたしておりまして、このプロセスとか枠組みにつきましては、
今後検討されるべき問題であると認識しております。
Q:将来的には、経済支援が始まるとしてもそれが結局100万以上の軍隊に
流れていってしまうと、結局、軍を強化するような結果になりかねないと
いう懸念などもあると思うのですが、安保協議の中ではブッシュ大統領な
ども言っておられるように、いわゆる通常兵器の削減、つまり軍縮もテー
マになるとお考えでしょうか。
A:北朝鮮の軍事動向というのは、わが国のみならず韓国やアメリカにも影響
するところでもありまして、わが国の経済支援が軍事拡大につながってい
かないようにきちんとした担保を取って援助すべきだと思います。そうい
う意味では、昨日の共同宣言にもこの援助の方式につきましては、(経済
支援についていろいろ制約をつけるといいますか、)無償資金協力、低金
利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実
施し、また民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、
信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの認識にお
いて、経済協力の具体的な内容を交渉の場で誠実に協議することとしたと
いうことでございまして、これについても今後の交渉において、軍事強化
につながらないような形で経済協力を行うべきであると考えております。
Q:軍縮というものは、安保協議のために残りませんか。
A:通常兵器や兵力の問題も現実に北朝鮮には、100万の兵力や10万を超
える特殊部隊があり、また核ミサイル等、大量破壊兵器の存在等も課題と
なっておりまして、これらについて、わが国としてこの地域の安全保障の
観点で大きなテーマとして話し合いをしていきたいと、特に北朝鮮の経済
また国民生活等を考えますと軍事に国家財政の巨額な部分、投資を投ずる
よりも国民生活の安定に資金が回るためにはこの地域が安定する、そして
北朝鮮の軍縮が進められるということが北朝鮮にとってもまた周辺諸国に
とっても利益があることでありまして、そういった点をよく協議を通じて
相互の信頼関係を構築することによって実現できるように今後とも話をし
なければならないと考えております。
Q:そうすると、安全保障上の観点から言えば、経済支援をするとしてもそう
いう用途が、例えば軍事費として使われないようにとか、そういう用途の
指定みたいなものが必要になるというふうにお考えでしょうか。
A:一つは、韓国との日韓交渉において経済協力という形で供与いたしました
けれども、いろいろな開発のプロジェクトとか、北朝鮮の国の経済的発展
等安定のために資するという目的で経済支援をすべきだと思いますけども、
この問題につきましては政府として取り組んでいかれると思いますので、
防衛庁としてはその内容についてまでコミットすべきではないと思います。
Q:安全保障の観点から、長官として今回のこの宣言において、北朝鮮が大幅
な歩み寄りを見せたという意識はございますか。
A:想像した以上に日本と北朝鮮との間の安全保障にかかわる懸案が、宣言や
会談の言葉に盛り込まれておりまして、双方がよく情勢を見極めて、お互
いに将来のことを考えて話し合いがされたわけでありまして、あくまでも
それが、これからの話し合いの土台になるわけでありますが、懸案の基本
的なことについては、合意として文書に盛り込まれたというふうに思って
おります。
Q:「想像以上に」という部分で、北朝鮮がそういうような動きになったとい
うのは、どういった背景、狙いがあるというふうに分析されているのでし
ょうか。
A:これまでの周辺国の動き、特に韓国との南北対話、また日本との今回の交
渉、また米国等の北東アジア政策、そういったここ2,3年の大きな変化
の対応の中で北朝鮮として安全保障面においても、国際社会とともに話し
合いをしながらやっていかなければなないというように思って会談が行わ
れたと思います。
Q:先ほどいった部分では、アメリカの言った「悪の枢軸」とか、北朝鮮の今
の貧困とか、そういった部分が含まれるというふうにとらえてよろしいで
すか。
A:その発言が供したかどうかは、あくまでも先方が決定したことであります
ので、推測の域にすぎないわけでございます。
Q:拉致問題について、かなり不透明な部分も残したまま国交の正常化に動き
出すという部分については、少し早いのではないかという指摘もあるよう
ですが、その点についてはいかがでしょうか。
A:拉致問題に関しましては、国民の生命財産にかかわる重要な問題でござい
まして、残念ながら帰国を果たすことができなかった方々に対しては、本
当にお気の毒でありまして痛恨の極みでないかというように思っておりま
す。今後、政府として対応をするわけでございますが、総理も発言された
ように日朝の国交正常化交渉の場といった場面で、今後、拉致問題を含め
た日朝間の諸問題ついて解決が図られていくことが大切だと思っておりま
す。
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